お知らせ・コラム
- 2020年1月14日
健康格差 -
貧困と無知さえ何とかできれば病気の大半は起こらずにすむ“とは、山本周五郎作「赤ひげ診療譚」の言葉です。本日、「健康の社会的決定要因(SDH)の視点で提供する全人的医療」と題した講演(順天堂大学:武田裕子先生)を聞いてきました。
健康格差とは、地域や社会経済状況の違いによる健康状態の差と定義されます。所得・学歴・仕事・居住地・性別・国籍など様々な健康に影響を及ぼす社会的要因(健康の社会的決定要因、SDH:Social Determinants of Health)により健康格差が生じます。
○所得が低いほど野菜摂取量は少なく2型糖尿病になりやすい
○所得が低い高齢者ほど要介護状態になりやすい
○教育年数が低く所得が低いほどうつ状態が多い
○低所得世帯の中高校生は肥満傾向
○学歴や所得が低い人ほど喫煙歴が高く運動習慣が少ない
○非正規労働者の賃金、労働条件
○経済(失業・生活苦・事業不振など)と自殺者
○7人に1人のこどもが相対的貧困
私の周りにも、貧困・高齢者の独居・一人親世帯などによる健康格差が沢山あります。糖尿病患者さんでも、経済的に苦しくインスリンを中断する人、炭水化物一辺倒の食事をする人、休みがなくて受診できない人など個人に起因しない構造的な問題を抱えている方が沢山います。プライマリケアに係る我々医療者は、どのように健康格差と関わっていったらよいのでしょうか?