お知らせ・コラム
- 2020年10月4日
糖尿病とスティグマ -
糖尿病の分野で、スティグマ(stigma)が問題になっている。スティグマとは、恥・不名誉な烙印の意味での用語です。糖尿病になれば、「自己コントロールできない者」「親もそうだったから」「太っているから」と周囲から非難や差別の原因となり、生命保険や住宅ローンに加入出来なかったり、就職や結婚まで負の影響が出て、「糖尿病の診断を受け入れたくない」「糖尿病を家族にさえ知らせていない」まで発展することはよく経験します。 それでは、患者さんに糖尿病の負の烙印を押すのは誰であろうか?それは、社会であり、マスコミもあるが、発生源の源は医療関係者である。 糖尿病は、「失明・透析など合併症の宝庫」、「寿命が10年短い」など恐ろしい病気と怖がらせて、医療者は治療している。コントロールが悪いと糖尿病患者は確かに合併症をおこすが、多くの患者さんが、糖尿病でない人と大差なく寿命を全うする現在、医療者が、糖尿病患者に負の烙印を押さないで人権を守る必要があると言われています。『患者さん中心の糖尿病治療』と言いながらも、私たち医療者が患者を上から目線で治療していることは反省すべきです。