お知らせ・コラム
- 2020年9月21日
ALS嘱託殺人事件 -
京都ALS嘱託殺人事件から終末期医療の安楽死を考える
一般に安楽死とは以下に分類される
積極的安楽死:筋弛緩剤を注射して患者を死に至らしめる
自殺ほう助:医師から与えられた薬で患者自らが命を絶つ
- 消極的安楽死:尊厳死で、リビングウイルに基づいて十分なケアを受けて自然な死
- 終末期鎮静:終末期の患者に緩和ケアの薬物投与
難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する嘱託殺人事件で医師2名は逮捕された。逮捕された医師は主治医でなく、さらに患者から130万円が振り込まれており、殺人ほう助として処罰されるであろう。実際、安楽死は日本では認められていないが、オランダなどでは合法化され、スイスでは一定の条件下で自殺ほう助を認めている。もし、彼女がスイスで安楽死(自殺ほう助)したら、何ら問題にならなかった可能性もある。命を大切にする事はわかっているが、人間には死ぬ権利もあり、積極的安楽死や自殺ほう助はマスコミで言うほど悪いことなのか?
ALSなどの神経難病は、療養環境が改善されたとはいえ、病気の進行に伴い肉体的・精神的な苦痛は耐え難く、例え医療や介護の支援を受けても多大な苦痛を伴うものである。一滴の水さえ飲めず、自発呼吸さえできず、目以外は一寸とも動かすことはできない。仮に妻がALSに罹患し、『お願いだから殺してくれ、人工呼吸器を外してくれ』と妻から私に懇願されれば、私は呼吸器を外し、殺人ほう助をする可能性を否定できない。今の日本では、安易に安楽死や尊厳死を法的に認めるべきでないとの意見が大勢を占めると思われるが、今回の事件で安楽死・尊厳死・死の権利さらにACP(人生会議)について議論が深まることが期待される。